位相ドップラー粒子分析計(Phase Doppler Interferometer:PDI)以外の主な粒子径計測装置
レーザによる粒子・微粒子の計測
光と物質の相互作用によって生起する散乱過程には、入射光と同じ波長の光が放射される弾性散乱と、光と物質の内部自由度との間にエネルギーのやりとりの結果、散乱光の波長が変調をうけて放射される非弾性散乱がある。
弾性散乱過程は、光が物質と相互作用した結果、散乱光に物質のマクロな状態を反映する。非弾性散乱過程は物質の内部自由度、つまりミクロな状態を反映する。
イメージ法の原理
光イメージ法とはストロボランプ発光源とCCDカメラを使ってその間を通過する粒子の影を投影することによって粒子径及び粒子形状を計測するシステムである。
影を見ることによって面積を求め(影によって塗りつぶされたピクセルエリア)そこから相当粒子径を計算するので、一般的には測定対象の形状、物性等には影響されない。
定性的に画像をモニタリングするだけであれば特別な処理は必要ないが、測定対象としている粒子径測定の様な定量的に評価する場合には実寸の検定(キャリブレーション)や画像改質等の処理(ノイズ除去)を行うのが一般的である。
<キャリブレーション>
画像処理の場合には使用する光学系(対物レンズ等)によって計測可能なエリアサイズが変わってくる。
計測エリアは対象とする粒子がどの位の大きさかを想定し粒子が適当なサイズ(画面に対して粒子が大きすぎても小さすぎてもNG)で表わせるようなエリアを選択する。
図の様な標準粒子(レチクル)等を使用して1ピクセル当たりの大きさを設定する。どの標準粒子を使用するかは計測エリアによって変更する。
Greenfield社製の場合、レチクル450.45um、360.36um、270.27um、223.86um、177.45um、144.69um、106.47um、70.98um、35.49um、19.11umの粒子がプレート上に印されてある。
<ノイズ除去>
画像処理によって解析する場合はピントが合っていない状態の物体等を除去したり、背景濃度との区別または対象物体の輪郭をはっきりとさせる必要がある。
一般的にはグレースケールレベルによる評価を行う。
Threshold(敷居値)の設定を行うことによってピントが合っていない状態にある粒子を除去するのである。
飛翔粒子の様に必ずしもレンズ焦点面に被測定粒子がない(焦点からずれた位置にある)場合にはいわゆるピンボケ状態になる。
実際にその様な状態をCCDカメラを用いてグレースケール表示を行うと図の様になり、その勾配を見ると焦点面にある粒子の画像の場合にはシャープに、焦点面を外れた画像はブロードになる。ここで上に述べた敷居値の設定が重要な意味を持つことになる。
光学式パタネータ
スプレーの噴霧粒子径解析方法には様々な方法があるのは前述したが、ここで新しい計測手法を紹介する。
計測する粒子群にレーザシート光を照射し、粒子群から出てくる2種類の散乱光をカメラで撮り、その散乱光の強度から粒子径を計測するものである。
まず通常、弾性散乱強度の粒子の表面積に比例すると言われている。
一般的にミー散乱として知れられているものだが、ミー散乱を定義する場合、角度依存性など様々な要素が係わってくるので、ここでは弾性散乱強度とする。
ここで Is :弾性散乱強度 D :粒子径 k :定数
次にここでは粒子の散乱群は液滴であるので、蛍光を発するとするとこの蛍光強度は粒子の体積や量に比例する。放出される。
ここで If :蛍光強度 D :粒子径 f:定数
主に計測にはCCDカメラが用いられるので、面計測とすると面で捕らえられる蛍光強度は次式で表される。
同様に面計測での弾性散乱強度は
ここで Ii(x,y) は入射光強度、 If(x,y) は、蛍光強度、 Is(x,y) は弾性散乱強度であり、Ni は それぞれの粒子径での粒子数 Di, 、f k は前述してある。
(3) と (4) から
この式よりザウター平均径D32は下記のように得られる。
K:校正定数
光学式パタネータの構成図は上記となり、将来的にはPIVシステムとかなりの部分が共有出来るようになる。
Laser Induced Incandescence -- LII ( レーザ励起加熱法)
燃焼中のサブミクロンすす粒子は高出力パルスレーザの放射光を吸収し、そして瞬時にカーボンの蒸発温度まで加熱される。
それらは高温の黒体輻射を放つのである。
この特徴はすすの分量比の測定に役立つ。
加熱されたすすは、すぐには冷却されないために、このLIIの放射光はディレイ付きゲートカメラなどを用い、ミー散乱やレーザ励起蛍光法と区別できる。
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