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燃焼中の水素原子濃度計測:H-TALIF
H-TALIF 水素原子の2光子吸収レーザー励起蛍光法とは
H-TALIFは水素原子を2光子励起で計測する方法として知られていましたが、本2次元水素原子濃度計測システムは従来よりも4倍程度の効率で変換が可能な光学系を使用したものであり、東京大学 大学院工学系研究科 機械工学専攻 鈴木雄二教授の下で開発されたものです。
燃焼中におけるLIF(Laser Induced Fluorescence:レーザー励起蛍光法)による計測はOH、CH、NO等の分子計測が一般的で、その場合は1光子の励起で十分でした。しかしながら、水素などの原子を励起するためにはより強度を得るために2光子法が使わるために、TALIF(Two-photon Absorption Laser Induced Fluorescence)による計測となります。
原理
水素原子の2光子励起をするためには、205nmのUV光が必要となります。これを得るためには下記の二通りがあります。
①ナノ秒 低繰り返しタイプ
まずポンプレーザーとしてはNd:YAGレーザー(532nm)を用います。これに色素レーザー、更には複雑な光学系を用い、205nmのUV光を発信するようにします。この場合、ナノ秒では十分なエネルギー幅にはなりえないので、特殊な光学系を用いて、光路に圧縮をかけます。 燃焼炉にこのUV光を照射し、得られる蛍光をイメージインテンシファイヤー付きのカメラで捉え、水素原子の濃度分布を得ることが出来ます。
②フェムト秒 高繰り返し(時系列)タイプ
この場合、フェムト秒(Fs)発振のチタンサファイヤレーザーをソース光として使います。これにOPA(波長可変ユニット)を用い、205nmを3桁、4桁レベルで取り出し、時系列で2光子励起を計測します。フェムト秒は十分に狭いエネルギー幅が作れるために、光学系は特殊なものを用いる必要はありません。燃焼炉にこのUV光を照射し、得られる蛍光をイメージインテンシファイヤー付きのハイスピードカメラで捉え、時系列の水素原子の濃度分布を得ることが出来ます。
特徴
- 火炎のH原子を205.144nmレーザーの2光子で励起することでH原子の観察を実現
単一光子原子吸収LIFでは空気中の他の種による102nmのVUV光子の強い吸収のため困難でしたが、新たに2光子励起によりこの問題を解決
- 容易なアライメント
光学系を単一軸に配置することでアライメントも容易になりました。
事例
メタン火炎のH-TALIF 計測例
資料提供 : 東京大学大学院工学系研究科
機械工学研究室 鈴木雄二教授