位相ドップラー粒子分析装置( Phase Doppler Interferometer : PDI )の原理

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位相ドップラー粒子分析装置(PDI)の原理

 

<特 徴>

PDI ( Phase Doppler Interferometer )はLDVの発展したものであって粒子の速度と粒子径を同時に計測することが可能な装置である。
LDVとの違いは、LDVがドップラー信号の周波数だけを利用するのに対してPDIは位相情報も利用することになる。

PDIの製品については、こちらをご参照ください。
https://www.seika-di.com/measurement/particle.html


<原 理>

1)液滴に入る光の進路



透明な球形粒子に光が当たると図に示すように入射した光の一部は表面で反射し一部は屈折して粒子内に入り再び外部へ出て散乱光として観測される。
粒子の相対屈折率をm、入射点における粒子表面と屈折光のなす角をτ’、粒子表面と反射光のなす角をτとすると、τとτ’の間には、cosτ=m*cosτ’ の関係が成り立つ。
また粒子からの散乱光を屈折や反射の回数Pで表わすと、表面反射はP=1、屈折して粒子に入り再び屈折して散乱する透過光はP=2、内部反射をn回伴う光はP=n+2となり、Pが3以上の散乱光のエネルギ―は非常に小さく一般的には無視できる。
入射する光と出射する光のなす角θはPを用いて、θ=2[(P-1)τ’-τ] と表わすことが出来る。



2)光路長の違いと位相差

粒子表面の異なる2点に入射した光が粒子内部を通過して再び周囲に出てくる場合に生じる光波面の位相差が生じる要因には、媒体の違いによる光の進行速度の差も影響するが、光路の違いを幾何学的に考えることで十分に説明できる。
光が粒子表面で屈折し、内部で反射しないで出てくるP=2の光が図に示す様に粒子の中心を通過する場合と中心からずれて入射する場合を考える。
周囲気体と粒子内の光の進行速度が同じとすると、中心を通過する光と中心からずれた光の光路差δLはδL=d(sinτ-sinτ’)となる。
その間に生じる位相差Φは


Φ = 2α(sinτ-sinτ’)
α = πd/λ


ここでαは粒子径パラメーターと呼ばれている。
したがって位相差Φは散乱光強度によらず粒子径に比例した値となる。
一定距離離れて設置された受光器で散乱光を受けると、各々の受光器に達する光は異なった光路を通過してきた光でありその位相差を知ることにより粒子表面の曲率を算出出来るのである。



3)原理

位相ドップラー法における散乱光の種類と受光器の関係を図に示す。

図に示すようにレーザ光中を液滴が上から下へ落下する場合、液滴表面で反射した光(反射光)は下から上へ移動するのに対し、液滴の中を通過した透過光は下から上へ移動する。
また反射光や透過光の角度はその曲率に応じて変化する。
したがって測定点から離れた位置に置かれた受光器に入力された光は反射光の場合には図の下側に置かれた受光器に先に入り上側の受光器に移動する。
また透過光の場合にはこの逆となる。

実際のPDPAでは、測定可能な粒子径範囲(Dynamic range)を広げたり測定精度を高くする為に、3個のフォトマルチプライアー(PM)を用いている。
図に3個のPMを用いた場合の位相差と粒子径の関係を示している。
図中のΦ12はPM1とPM2の位相差、Φ13はPM1とPM3の位相差を示している。
1組のPMでは粒子が球形であるか否かも判断できない。
そこで3個のPMを用いてPM1とPM2の位相差Φ12及びPM1とPM3の位相差Φ13を求め、この2つの位相差から得られる粒子径を比較することにより、球形率の判断と同時にDynamic Rangeを上げ測定精度も高くすることが出来るのである。



 





参考文献

  • 慶應大学 徳岡 直静:位相ドップラー法による測定:日本微粒化学会 噴霧特性の測定原理と実習テキスト
  • 東北大学 小林 秀昭:LDVとPDPAの原理と応用例東北大学 小林 秀昭:LDVとPDPAの原理と応用例



関連製品

粒径計測システム
https://www.seika-di.com/measurement/particle.html

流速計測(PIVシステム)

https://www.seika-di.com/measurement/piv.html

流速計測(LDVシステム)

https://www.seika-di.com/measurement/ldv.html


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