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ポロメーターとは
ポロメーターとは
ポロメーターとは、フィルター、セパレーターのフィルタリング性能、捕集率、液体/気体透過性に関わる貫通細孔径分布の測定を行うことが可能な装置です。業界大手であるPorometer社ポロメーター、リキッドポロメーターの他、西華デジタルイメージ社製であるナノパームポロメーターなど、孔径レンジに応じて各種機種を取り揃えています。孔径レンジとしてはオングストロームからミリメートルまでと、実用上必要とされる孔径は測定可能な装置一式を扱っています。
ポロメーターで測定できる物性
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ポロメーターでは、多孔質材料の以下の物性が評価できます。
・最大細孔径 (バブルポイント径)
・平均細孔径
・最小細孔径
・細孔径分布
・ガス透過性能
ポロメーターの測定対象とする細孔は、貫通孔の【ネック部分】です。
(下図のPore 3、Pore 4、Pore 5が対象) この部位は、フィルタリング機能、セパレーティング機能、ガスや液体の透過の特性を 決定付ける、最も重要な細孔と言えます。
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ポロメーターの測定原理について
圧力と細孔径の関係 (細孔径の求め方)
細孔直径は、細孔がある試液で満たされている場合を考えたとき、細孔内の試液を押し出す圧力との関係から理論的に計算することができます。
サンプルの一次側から圧力 (ガス圧) をかけ、徐々に圧力を増加させると 細孔直径が大きい細孔から順々に試液が排出され、二次側にエアが 流れるようになります。
このとき、細孔から試液を押し出す圧力 Pと、細孔直径 Dの間には以下の式が 成り立ちます。
D = Cγ/P (Washburnの式)
D= 細孔直径
C= 定数
γ = 試液の表面張力
P= 圧力
この式を見て分かるように、試液の表面張力 γは使用する試液により一定のため、 細孔直径 Dと圧力 Pは反比例の関係にあることが分かります。
ドライサンプル
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実際の測定では、乾いたサンプル (ドライサンプル) と湿潤液に含侵されたサンプル (ウェットサンプル) それぞれについて、圧力と透過流量を計測します。 まず、ドライサンプルについて考えます。 ドライサンプルに圧力 P (ガス圧) を一次側からかけると二次側にエアが透過します。 このとき、一次側から二次側に流れる透過流量 Fは圧力 Pの増加とともに 増加します。 ドライサンプルに圧力をかけたときの圧力 Pと、透過流量 Fの関係をグラフにすると 下図 (黒線) のようになります。このグラフを【Dry Curve】と言います。
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ウェットサンプル
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次にウェットサンプルについて考えます。 サンプルが湿潤液に含侵されると、全ての細孔内が湿潤液で満たされます。 圧力 P (ガス圧) をかけると、低圧時は細孔が塞がれているために二次側に 透過流量 Fは計測されません。 圧力 Pを上げていくと、最も大きな細孔から湿潤液が抜け透過流量 Fが 発生します。 このときの圧力点をバブルポイントと言います。 さらに圧力 Pを上げていくと、大きな細孔から順々に湿潤液が抜けていき、十分に 圧力 Pが高くなると全ての細孔から湿潤液が抜け、ドライサンプルと同じ量の 透過流量 Fが流れます。 ウェットサンプルに圧力をかけたときの圧力 Pと、透過流量 Fの関係をグラフにすると 下図 (赤線) のようになります。このグラフを【Wet Curve】と言います。
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データ解析
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測定した圧力 Pと、透過流量 Fのデータから以下の物性が求められます。
最大細孔径
バブルポイントの圧力から求められます。 これは、バブルポイント法 (ASTM F316-86,JIS K 3832) に基づきます。
平均流量細孔径
【½ Dry Curve】 (Dry測定データの流量が1/2の点をプロットしたグラフ)を 引いたとき、Wet Curveとの交点の圧力から求められます。 これは、ハーフドライ法 (ASTM E1294-89) に基づきます。
最小細孔径
Dry CurveとWet Curveが重なる直前の圧力から求められます。
細孔径分布
Dry Curveに対するWet Curveの増加量から細孔径分布が求められます。 Dry Curveに対するWet Curveの増加量が大きいほど、その地点の孔径の 細孔が多く、小さいほどその地点の孔径の細孔が少なくなります。
ガス透過性能
Dry Curveからガス透過性能が分かります。